見えない課題を先回りして解決しプロダクトで提示する。BASEのCRE(顧客信頼性エンジニアリング)とは?

今回は、ネットショップ作成サービス「BASE」およびショッピングアプリ「BASE」の顧客信頼性向上の取り組みについて、ユーザーさんからのお問い合わせ対応に携わっているエンジニアとカスタマーサポート(以下、CS)のメンバーにインタビューをしました。

「BASE」だからこそ重要視しているサービス作り方、顧客信頼性の観点や、そのためにどのようなことに取り組んでいるのかを知っていただけると嬉しいです。


【Profile】
写真右:菊地 陽介(きくち ようすけ)
BASE Product Division Commerce Devエンジニアリングマネージャー

大学院で物理学を修了後、2012年にグリー株式会社に入社。「ドリランド」や「釣りスタ」といった日本最大級のソーシャルゲームの開発運用や新規ゲームの立ち上げを経験。2017年4月にBASE株式会社に入社。主にアプリのバックエンドの開発とプロジェクトのディレクターを兼任。2019年1月に、Eコマースプラットフォーム「BASE」の決済部分の開発を中心に行うCommerce Devエンジニアリングマネージャーに就任。趣味は資産運用。

写真左:島田 佳祐(しまだ けいすけ)
BASE Product Division サーバサイドエンジニア

1985年生まれ、茨城県出身。新卒でWeb開発会社に入社、キャリア公式モバイルサイトやアーティストのファンクラブサイトの開発を経験。その後、株式会社エムアップにてアパレルやアーティスト等のECサイトの開発、スマホ向けキャリア公式サイトの開発を担当。2015年4月にエンジニアとしてBASE株式会社に入社。サービスの開発から組織作りなど幅広く担当し、Eコマースプラットフォーム「BASE」の決済部分の開発を中心に行うCommerce Devに所属。最近の楽しみは娘と遊ぶこと。趣味は自転車。

写真中央:日下部 理沙(くさかべ りさ)
BASE Business Division Customer Supportマネージャー

1992年生まれ、愛知県出身。学生時代にスタートアップに興味を持ち、大学在学中の2014年3月にBASE株式会社にてインターンを開始し、2015年4月に新卒として入社。当初よりネットショップ作成サービス「BASE」のカスタマーサポート業務に従事し、2018年7月よりCustomer Supportマネージャーに就任。


現在の業務について教えてください。

菊地:現在はCommerce Devというチームのエンジニアリングマネージャーをしています。決済周りを中心に開発、運用することを目的に立ち上がったチームですが、決済以外でもバックエンドのことは何でもやっています。

またお問い合わせ対応も日常的に行っており、CS(カスタマーサポート)からエスカレーションされたお問い合わせの一次受けを私が行っています。

島田:現在は、Commerce Devというチームで決済周りの運用保守を行いつつ新規機能開発を行っています。決済の運用保守に関しては、ユーザーさんがお金を支払う・受け取ることを「安心・安全・簡単」に行えるように日々対応しています。

日下部:私は、Customer Supportというチームのマネージャーを担っています。主な仕事は、「BASE」のユーザーさんからのお問い合わせに対応するCS業務、新機能リリース時などの仕様確認や他部門との連携、そしてチームメンバーのマネジメントです。

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どのような経緯でBASEに入社したのでしょうか?

菊地:新卒でグリー株式会社に入社しました。元々ベンチャー企業で働きたいという理由で就職活動時に社員数100人規模だったグリーに入社を決めたのですが、入社する頃には1,000人規模まで急成長していました。大変恵まれた環境で仕事をすることができ、良い会社でしたが、もっと規模の小さいベンチャー企業で一度は働いてみたいという思いがあって転職活動を始めました。

世の中にどのような会社があるのか知識が乏しかった私は、転職エージェントに「社員数が50人以下で、まだ働く環境が整っていなくて、今一番イケてるベンチャーを教えてください」と質問しました。そこでエージェントから返ってきた答えがBASEでした。

その時点ではBASEという会社を知らなかったのですが、調べてみると社長の鶴岡が当時26歳と若いことを知り興味を惹かれました。なぜなら私は投資が好きで、その中でも特に株式投資が好きなのですが、テンバガー(株価が10倍以上に跳ね上がる株)になるポテンシャルを秘めた企業への投資条件の一つに「創業社長で若いこと」というのがあるからです。

また、自分が頑張らなきゃ会社が回らないというくらいの環境に身を置くことで大きく成長できるはずだと考えていたので、当時数十名規模だったBASEでぜひ働いてみたいと思いました。そういった部分も含めて自分のキャリアを株式投資になぞらえて考えたときに、今後数年間のキャリアをBASEに投資するのはリターンが大きいのではないかと判断し、入社を決めました。

島田:前職ではエンタメ系ECサイトの構築をメインに行なっていました。カート・決済部分だけではなくレコード会社・事務所向けの管理画面、運営会社向けの管理画面の構築やWMS(倉庫管理システム)との連携部分すべてをフルスクラッチで作っていました。1つのECサイトを作るのに数か月かかることもありましたし、それなりの費用がかかっていました。予算や期間が限られた場合でももっと簡単に売買ができるような仕組みがあったらいいなと思っていたら、ちょうど理想に近いサービスを提供しているBASEが求人募集していたので応募しました。

BASEがいいなと思ったのは、オフィス環境ではなくプロダクトを一番大事にしていたからです。面接で当時のBASEのオフィスを訪れたときに、オフィス内は冷えるし、道玄坂からは宣伝トラックの音が響くし、床は傾いているし、前職の環境と比べると正直驚きました(笑)そんな中で、自分より年齢が若い人たちが、ああでもないこうでもないと議論しながらより良いプロダクトを作ろうと一生懸命に取り組んでいて、仕事は場所じゃなくて想いが大事なんだということが表れているように感じました。

前職で勤めていた企業は東証一部に上場していて自分は役職も持っていましたが、それをリセットしてスタートアップやベンチャーで1からチャレンジしてみたかったこともあり、BASEへの入社を決めました。

日下部:元々インターネットが好きで界隈の人をTwitterでフォローしていました。そんな中、家入(一真)さんや鶴岡のTwitterを見て、みんな楽しそうに仕事していて「私もBASEで働きたい!」と思い、鶴岡に「働かせてください」と直接メッセージを送ったことがきっかけでした。大学3年生の3月からBASEでインターンを始め、そのまま2015年の4月に新卒として入社しました。インターンの時からずっとCS業務に携わっています。 (日下部の入社経緯については、以前のインタビューに詳しく書いていますので、ぜひお読みください。)

BASEのお問い合わせ対応は、どのようなフローで行っているのでしょうか?

日下部:Zendeskを利用したメールのお問い合わせ対応が中心となっています。ユーザーさんから届いたメールを各CSメンバーに割り振り、回答の作成・返信をしています。コードを修正する必要があるものなど、CS内では対応ができない技術的な部分については社内チャットツールのSlackでエンジニアに共有して対応を依頼しています。そうすると案件ごとに該当の領域に詳しいエンジニアに割り振りが行われるので、担当エンジニアに、調査・対応をしてもらったら、それを基にCSからユーザーさんに返信しています。

菊地:現在は、CSチームからきたお問い合わせの一次受けを私が行い、その後誰がそれについて詳しいか、リソースに余裕があるかなどのバランスを考慮して調査を各エンジニアに依頼しています。調査をして不具合だった場合は、すぐに直せるものは即座に直しています。目安として半日以上工数がかかるようなものである場合は、プロジェクトとして優先順位を検討して改善を行っていきます。

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「BASE」の顧客信頼性向上に関して、大事にしている価値観やポリシーを教えてください。

島田:ユーザーさんの要望を鵜呑みにして開発するのではなく、私たちがユーザーさんをリードし、どうやったらユーザーさんの課題を解決できるのかをプロダクトを通じて提示していくことが重要だと考えています。

「BASE」は「お母さんも使える」をコンセプトにしているように、インターネットにあまり詳しくない方々でも利用できるプロダクトを作っています。そういった方々は、どういう機能が必要なのか、どういうサービスを提供してほしいのかがご自身でも分かっていない場合が多いのではないかと思います。だからこそ、誰もが直感的に利用できる機能をまず私たちが考え抜いて提供していく必要があると思っています。

そうすることで、ユーザーさんに「「BASE」は使いやすい、簡単で分かりやすい」と感じていただけることで顧客信頼性が向上し、長く使っていただけるプロダクトを作ることができると思っています。

また決済周りで言うと、裏側の仕組みは少し複雑だったりするのですが、ユーザーさんはそのことを意識しなくて済むよう、やりたいことに対してすぐに答えが分かるUI/UXの実現を心がけています。

例えばショップ向けの機能で複数の決済方法が簡単に利用できる「かんたん決済」というものがあります。一般的にECサイトに決済機能を導入する場合、決済代行会社との契約が必要な場合があったり、開発が必要な場合もあります。しかし「BASEかんたん決済」は、ショップの管理画面から利用申請するだけで、個人では導入が難しいクレジットカード決済、後払い決済、キャリア決済などもすぐにショップに導入できるようになります。

菊地:私が大切にしているのはスピード感です。CSメンバーからの質問に関しては私が一次受けの担当になっているということもあり、即座にレスポンスできるよう心がけています。

日下部:CSとしては、当たり前ですがユーザーさんに寄り添うことを最も大事にしています。ただ現状の仕様に沿って回答するだけではなく、そもそも仕様自体に改善すべき点が本当にないのか?と思ったらエンジニアに問題提起しています。ユーザーさんが困らないようにプロダクト自体も良くしていきたいという気持ちで日々業務に携わっています。

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お問い合わせ対応にあたるCS・エンジニア間の連携で意識していることを教えてください。

菊地:一度も話をしたことがない関係性だとお問い合わせの調査を依頼する方は依頼しにくいだろうなと思っています。業務以外でも普段からコミュニケーションを取っていることがCSとエンジニア間の連携を円滑にするために大切だと私は考えているので、1日に1回はCSメンバーの席に行って雑談をしたり、CSメンバーの席の近くで作業する機会を作っています。

またお問い合わせ対応を早める工夫として、CSメンバーが毎回エンジニアに調査を依頼をしなくても済むようにRedashというツールを導入しました。現在は、CSメンバーもオーナーさんが行ったショップ設定の変更履歴などのお問い合わせ対応に必要なデータを一部抽出できるようになり、これまで作業依頼や調査にかかっていた時間を短縮することができています。

日下部:CS側としては、メンバーみんながそれぞれ自分のテストショップで動作を試してみたり、自分で挙動を確かめてからエンジニアと連携するようにしています。まずは出来る限り自分たちが状況を理解することでエンジニアがその後の対応をスムーズに行えるように心がけています。あとは過去のお問い合わせの対応履歴がZendesk上にチケットとして残っているので、類似するお問い合わせが過去にないか、事前にチケットを調べるようにしています。

島田:エンジニア側としては、CSメンバーがユーザーさんが本当に必要にしていることがきちんとエンジニアに伝わるように上手く橋渡しをしてくれるので助かります。

菊地:私がすごいなと思っているのは、BASEのCSメンバーはサービスへの理解が非常に深いところです。CSのメンバーから「ここの仕様が分かりません」といった回答が返ってきたことがありません。むしろエンジニアのほうが仕様を知らないときもあって勉強しなきゃなと思うことがあるくらいです。ですのでエンジニアとCS間のコミュニケーションもスムーズです。

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菊地:連携というと、週に1度の「CS定例」というエンジニアとCSが口頭でリリース予定を確認するミーティングを行うようになってから、以前に比べてお互いの認識の齟齬がなくなったと感じています。

定例を始める前まではCSに共有されないまま機能をリリースをしてしまうことがあり、ユーザーさんからのお問い合わせが来て初めてCSメンバーが新機能リリースや仕様変更があったことを知るというような状況も発生してしまっていました。

日下部:リリースされる機能のヘルプを用意してないのに、先にリリースされて正直困ったなという ことは過去にありました…。「今日リリースします!」というふうに急に共有されて、CSがバタバタするっていう(笑)現在はCS定例でリリース予定をきちんと共有してもらっているので、ヘルプの作成などユーザーさんが困らないような準備を行ってからリリースを行うことができています!

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ユーザーさんのお問い合わせ対応に携わるにあたって心がけていること、難しさややりがいを教えてください。

日下部:ECというサービスの特徴として、お金が関わる内容が多いので、丁寧かつ正確に伝えることを大事にしています。

また不具合やトラブルが起こってしまったら、なるべくユーザーさんの不安を取り除けるように、お問い合わせいただいた内容が既に対応に入っていることや不具合が修正可能かどうかなど状況をできるだけ早くお伝えするように心がけています。

CSは直接ユーザーさんとコミュニケーションする立場なので、感謝の言葉を直接言っていただけることも多く、そういう時はやっぱり嬉しいですね。

菊地:私は、自分が関わった施策の数値分析を行って期待以上の成果が得られていた時にやりがいを感じます。例として「BASE」のプラグインプラットフォーム「BASE Apps」の1つで、企画段階からリリースまで携わった「メッセージApp」があります。

これはショップオーナーさんと購入者さんが、ショップ上のチャットで連絡をすることができる機能で、ショップオーナーさんはショップの管理画面でやりとりをすべて完結することができます。以前は、ショップオーナーさんと購入者さんの連絡はメールで行われていたのですが、オーナーさんがお問い合わせの対応をもっとラクに、効率的に行うにはどういった機能が必要なのかを考えて開発したAppです。

リリースしてまだ半年くらいですが、この「メッセージApp」は予想以上の数のショップに利用されていて、すでに多くのメッセージがやりとりされています。今では「BASE Apps」の中でもトップで使われている機能となり、自分が関わった機能が期待を超えてユーザーさんのお役に立てていることが分かると嬉しいです。

島田:様々なお問い合わせがある中で、対応の優先順位付けが難しいです。ユーザー数の増加やショップの多様化、プロダクトの成長など、時間の経過とともにそれまでは問題ではなかったことが問題に変わることがあります。サービスの規模が大きくなればなるほど、発生する問題の種類が多様化し、対応する幅が無限に広がっていきます。そういった中で何をどう対応するのがベストなのか見極めるのがなかなか難しいです。

ただ変わらないのは困っている人がいるということ。ちゃんと解決できれば喜んでもらえるのでそれはやりがいです。

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最後に、BASEで顧客信頼性向上に携わるにあたって、どういう人がフィットするか教えてください。

島田:エンジニアとしては、進んで課題を発見して積極的に解決していったり、困っている人がいたら助けてあげたくなっちゃう人がフィットしていると思います。

菊地:依頼されたから対応するという姿勢ではなくて、ショップオーナーさんや購入者さんの気持ちになって自ら問題に気づき能動的に開発を進めていける方だとフィットするのではないかと思います。

あとBASEはCSメンバーとエンジニアが近い距離で問題解決ができるので、そういう環境で開発をしたい方にはピッタリなのではないでしょうか。私自身は、普段からCSメンバーとコミュニケーションを取っているのでより一層「CSの〇〇さんが困っているから助けたい!」という気持ちになりますね。

日下部:CSメンバーとしては、ユーザーさんの対応をするにあたって自分が思う最適な回答を考え、ユーザーさんに寄り添った対応することに楽しさややりがいを感じる方だとフィットすると思います。

お問い合わせ対応では、回答内容は決まっていても文章での伝え方については決まった正解はないので、チームメンバーにはあまり「こういう言い回しにしてね」みたいなことを強制していません。自分が対応しているユーザーさんに1番良いと思う対応ができれば良いと思うのでそこはメンバーに委ねています。もちろんチームメンバーにはどんどん相談してねと伝えているし、困ったときはみんなでどうすべきかを一緒に考えます!

あとエンジニアとフラットに話せる環境なので、機能の要望も言いやすいです。そういった環境でCSをやりたい方は楽しめると思います!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

BASEでは、ネットショップ作成サービス「BASE」およびショッピングアプリ「BASE」の顧客信頼性の向上を加速させるため、顧客信頼性の向上に関する開発を専門に行うCRE(Customer Reliability Engineering/顧客信頼性エンジニア)チームを新たに立ち上げます。

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