社長室の小林です。
最近のIT企業では、外付けディスプレイをつないでのデュアル/トリプルディスプレイ構成が当たり前となっています。
そんな、仕事中最も長い時間向き合うもののひとつであるディスプレイについて、深い知見を持っているというフロントエンドエンジニアの松原さんに「ディスプレイについて1時間語ってください」とお願いしてみました。
今日はお時間いただきましてありがとうございます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。本当にやるんですねこの企画(笑)
やります。ディスプレイに並々ならぬこだわりを持つ松原さんですが、なにかきっかけがあったんですか?
いや、きっかけ自体は大した話ではないんですよ(笑)自宅のPCを買い換えるときに古いディスプレイとケーブルが残ったので「ディスプレイが増えたら作業効率よくなるよな。このケーブルって新しいPCにも刺さるのかな」と色々と自分なりに繋いでみたり、調べていくうちに…という感じです。ノリですね。
なるほど。それはいつ頃の話ですか?
もう10年ぐらい前になりますかね。それからずっと自宅も仕事もマルチディスプレイ構成になってます。今は整理して3枚になってますが、一時期は6枚とかになってましたね。
なるほど6枚。…え?6枚ですか?
Windows用に3枚。Mac用に3枚です。今はWindows用に27インチ2枚と、Mac用に40インチが1枚ですね。
ディスプレイの数は減ってるけど、想像よりだいぶ大きい3枚でした。
「4K40インチがトレンドだ!」ってなったときに買ってしまって…デスクもそれに合わせて大きいものにしてます。
それだけ大きいと、画面を使い切れなくなってしまいそうな気もしますね。
そうですね。縦幅ってあまり使わないんですよ。横幅についてはいい感じだなと思うんですけど、縦については上下をカットしてしまいたくはなりますね。
会社で使われているディスプレイは縦幅があまりなく、「大きい!」という印象は薄いですね。横幅はすごいけど。
そうですね。首の上下運動って疲れるので、縦はあまり必要じゃなくて、広げるなら横に広げたいんです。
会社ではLGの38WK95C-W(3840×1600)という曲面ウルトラワイドディスプレイを使わせてもらってますが「作業効率いいな~」とかなり満足しています。自宅にも同じものを3枚ぐらい導入したいんですけど、予算の問題もあり、なかなか踏み切れずにはいますね(笑)
3枚となると結構なお値段しますね(笑) それほど今の縦幅がちょうどいいと。
私の好みからすると、作業という意味では縦1600pxってかなり優秀だと思いますね。
映画を見る用途にはもしかしたらあまり向いていないのかもしれませんが、ゲームは解像度をある程度自由に変えられるので縦幅が問題になることってあまりないですし、作業をする時は縦がちょうど使い切れるぐらいの高さだと思っています。
なぜ曲面になっているんですか?
画面の端っこの方って座っている位置からちょっと遠いじゃないですか。そこを曲面にすることで、距離を短くして見やすくしている、ということらしいです。
なるほど~。3840×1600ってあんまり見かけないですよね。1920×1080はすごくよく見ます。
数年前は縦1600pxぐらいのディスプレイって結構あったんですけどね。16:9のワイド画面が流行りだしたときに各社が大きさをある程度統一したんです。今世の中に出回っているディスプレイは大体どれも縦幅が短くて個人的には正直ちょっとイマイチだなって思ってしまう部分もあったんですけど、38WK95C-Wはそれも解消してくれました。
ディスプレイ構成についてはいろいろ工夫している方もいらっしゃいますが、理想を言えばみんな横に3枚ぐらい置きたいんじゃないかなって勝手に思ってます(笑)
「良いディスプレイ」「悪いディスプレイ」というのはあるのでしょうか。
良し悪しというか、当たり前ですがやはり値段によってスペックは変わりますよね。実はそのあたりをドキュメントにまとめてみたんですよ(社内共有されているドキュメントを開く)
え!すごく詳しく解説してありますね!これすごい…いろいろなメーカーありますね。
そうですね。ここ4~5年ぐらいなんですかね、価格を抑えながらスペックも十分なものがどんどん出てきています。60W給電可能なUSB Type-Cが付いていて、Macを充電しながら使うことができるモデルとかですね。ものによっては30Wまでしか給電できないUSB Type-Cもあるのでこれは魅力的です。
「ディスプレイは値段なり」とのことですが、気をつけないといけないポイントとかありますか?
そうですね。オフィス環境によってだとは思いますけど、グレア液晶(光沢のある液晶)だと、例えば映画を鑑賞する時などには適しているのですが、光りすぎて作業には向かないのではないかと思います。
BASEの今のオフィスって照明が明るいので、グレア液晶だと光が映り込んでしまって気になってしまうことも、もしかしたらあるかもしれません。社内のメンバーの中にも、アンチグレアフィルムを貼り付けている人はいますね。
ディスプレイを試してみるのってなかなか難易度が高いですよね。キーボードみたいに触ってみたりとかもできないし。
そうですね。家電売場とかで展示してあるものも、明るい店内に負けないように輝度最大にしているので、買ってみないと本当に自分に合っているかはわからないと思いますね。
なるほど。最終的なゴールというか、松原さんにとって理想のディスプレイ環境ってどういうものですか?
そうですねえ…。「複数枚のディスプレイで、分離できるけど縦のフレームがない」みたいなものができると最高かなと思います。 ただ、現状はスマホサイズの液晶でもベゼル(ディスプレイの周囲を囲む部分)が残っているので、すぐには厳しいんじゃないかなと思っています。隣同士のディスプレイの継ぎ目が完全になくなって、カーブしながらそれを170°ぐらいで並べられるようになるといいですね。
もはやロボットアニメのコクピットみたいですね(笑)
そうですね(笑) さらに進むと、もはやディスプレイというかAR的ですけど、SF映画みたいに目の前の空間にホログラム映像が投影される。みたいになるともう最高ですよね。
すごく未来を感じます。
でもやっぱり、曲面ディスプレイを何枚か横に繋げられるような環境って、かなり近似解だと思います。
横に広がるべしと。
そうですね。個人的にはかなり良い選択肢の一つだと思います。 一方で、「最強のエンジニアはMacBook一つですべて解決する」みたいなイメージってどこかあるような気がしていて。持っていたとしても15インチぐらいのポータブルディスプレイだったり。そういうイメージに対して少しばかりの劣等感みたいなものは正直ゼロではないです。
ですが、やはりフロントエンドエンジニアとしては、ブラウザとエディタの最低2画面を立ち上げて作業するのがデフォルトなので、1画面だとちょっと効率が悪いかな、とは思っています。横に広い分にはやっぱり便利なので、もう1枚曲面ディスプレイあると嬉しいです(笑)
これから曲面ディスプレイも種類が増えていくのでしょうか?
ある程度メジャーになっていくんじゃないかとは思いますね。近年、ディスプレイ業界は全体として「大型化」という方向で進んできたんですけど、そろそろ頭打ちのところまできているのではないでしょうか。今後、画面スペック以外での高付加価値の方向性については各社悩んでいるように感じます。
「曲面にして没入感を高める」「USB Type-C対応」「フレームレスの模索」など、ディスプレイそのものとは少し違うアプローチで強みを出していくのかなと。
おお、なるほど。
そうしないと価格競争だけで業界全体が沈んでいってしまいますからね。単純なスペックよりも体験を良くしていくんだろうなと。曲面ディスプレイは今はまだどれも高くて手が出づらいんですけど、どんどん買いやすくなっていくんじゃないでしょうか。
ふむふむ。個人では現状手を出しづらい曲面ディスプレイも、BASEなら備品として購入することができますね!
急にきましたね(笑)そうですね。実は最初、「松プラン」「竹プラン」という形で2つ稟議をあげたんですよ。竹プランはいまのディスプレイより少し安いもので、「曲面ディスプレイは値段が高いし、これは無理だと思うのでこちらの環境でお願いします」って。そうしたら「承認しました!松プランの方で準備しますね!」となって「あ、買ってくれるんだ。」と素直に驚きました。
キーボードもLEDバックライトが付いていてタイピングの度に光るものにちょっと興味が湧いていたんですけど、それはさすがに周りに迷惑かなと思って自粛しました。
キーボード談義なんかも企画できたらお呼びしますね!本日はありがとうございました!
キーボード談義楽しみにしてます(笑) ありがとうございました。
今回は書き切れませんでしたが、ディスプレイの駆動方式(TN方式とIPS方式)についてや、Adobe RGBやTNSCなどの色域についてなど、かなりディープな部分まで話してもらえました。
後日、松原さんのデスクの近くを通ると松原さんの他に2名の方が曲面ディスプレイユーザーとなっていました。これまで曲面ディスプレイを使ったことがなかった人も、実際に松原さんが使っているところを見て、惚れこんでしまったようです。
エンジニアだからこそ日々の開発で触れる機器たちにはこだわりたいもの。キーボード談義の実現もご期待ください!