経営戦略室の米田です。
昨年、経営戦略室にてBASEグループのワークスタイル(以下、ワークスタイル)を策定しました。これはウィズコロナ、アフターコロナの新たな働き方を示したものです。
本記事は、採用候補者のみなさまにワークスタイルの内容をお伝えするとともに、策定のプロセスをシェアさせていただき、ミッション実現に必要な働き方をより深く理解していただくことを目的としています。
BASEグループへのご転職を考えられている方は、入社後のギャップが生まれないよう、ぜひ事前にお読みいただけますと幸いです。
ワークスタイルの大前提
まずは、ワークスタイルの前提についてお伝えします。
ワークスタイルを定める上での大前提として、私たちはミッションである「Payment to the People, Power to the People.」の実現のために日々業務を行っているという共通した考え方があります。
そして、日々の業務に向き合う各位の意思決定の判断軸として、「Be Hopeful」「Move Fast」「Speak Openly」の3つの行動指針を掲げています。
今回は、この行動指針に沿って、ミッション実現のために会社全体のアウトプットの質をより高く、そしてより早く出すためのワークスタイルを定めました。
ワークススタイル概要
以下がワークスタイルの概要です。大方針となるポリシーは「ハイブリッドワークスタイル」です。
ハイブリッドワークスタイルによって、出社とWFH(Work From Home)それぞれのメリットを享受できる働き方としています。”集まる場”での対面コミュニケーションは出社して行い、個人作業等は出社とWFHのどちらも選択できる形です。
出社機会については様々な職種や業務特性を踏まえ、各チームやPJ(プロジェクト)に裁量を委ね、チームマネジャーやPJリーダーが出社機会を判断することとしました。ですので、全社で固定の出社日や出社曜日、出社頻度は設定していません。
業務遂行においては、上図の集まるシーン①が中心です。①における具体的な”集まる場”の例は以下の通りです。
補足ですが、出社して集まる場は必ずしも全てのチームやPJにおいて一律で設定しなければいけないものでもなければ、必ず出社して実施する必要もありません。オンライン実施もOKです。あくまで、それぞれのチームやPJのOKR達成に向けて各マネジャーやPJリーダーが必要だと判断した時に適切に出社して集まる場を設定できる方針としています。出社は課題解決の手段の一つであるため、出社自体が目的化しないよう注意する必要があります。
集まるシーン②は出社必須ではありませんが、オフィスで集まる機会を有効活用してカルチャー作りを行っていく予定です。具体的な機会はこれから企画していきます。
なお、東京都の緊急事態宣言等の発出時やまん延防止等重点措置下などの感染拡大時においては本ワークスタイルの適用外とし、別途定める「感染拡大時のガイドライン」を適用し、感染拡大防止を最優先とする働き方とします。
本ワークスタイルの適用については、オフィスレイアウトの変更や各種規程の整備等が伴うため、2023年1Q(1月〜3月)中の適用開始を見据えて準備を進めています。全社での適用はこれからですが、すでにトライアルとして本ワークスタイルに沿った集まる場の設置を行っているチームやPJもあります。
ワークスタイルを定めた背景
ワークスタイルの策定プロセスについてお話しする前に、まずはなぜワークスタイルを定める必要があったのかについて改めてお話しさせていただければと思います。以下はこれまでのBASEグループにおける働き方についてまとめたものです。
コロナ禍以前は、グループ会社であるPAY社で一部WFHを実施していたものの、基本的に職種や役職関係なく全員が毎日出社していました。2020年に入り、新型コロナウイルスが蔓延し始めたことを機に、感染症拡大防止を最優先とするため2月にWFHを導入しました(一部業務は引き続きオフィスにて実施)。
感染症拡大防止を最優先した”緊急措置”としてのWFH状態が続く中、
・これからの働き方はどうなるのか?フルリモートなのか、フル出社に戻るのか?
・PJ推進のために出社して集まる機会を設定したいが、会社としての方針が決まっていないので指示が出しづらい
との声がちらほら聞こえてくるようになりました。
この時点でのWFH実施はあくまで感染症拡大防止のための暫定措置でしたが、コロナ禍の終焉の見通しも立てられない中で、感染症拡大防止に取り組みつつも、ミッションの実現に向けて業務を行う全てのメンバーが混乱することなく働くためには、“あるべきワークスタイル”を今改めて定める必要が出てきたため、策定に着手しました。
策定のプロセス
ワークスタイル策定にあたって、大まかに5段階のプロセスで進めていきました。
①ワークスタイルの軸となる考え方の整理
②社内へのヒアリング
③ワークスタイルに関する研究、国内外の企業動向等のリサーチ
④素案作成
⑤経営メンバーとのディスカッション
プロジェクトはもう1名の経営戦略室のメンバーと私の2名で進めていきました。
①ワークスタイルの軸となる考え方の整理
ワークスタイルを決めるにあたり最も重視したのは、ミッションをより早く実現できる手段として有効か?という点です。そのワークスタイルの軸を考えるために、BASEグループの価値観を示す行動指針の策定背景を振り返った上で、改めてその要素分解と整理を行いました。
冒頭でも述べたように、BASEグループでは、以下3つの行動指針を掲げています。
Be Hopeful
楽観的でいること。
期待した未来は実現すると信じて、勇気ある選択をしよう。Move Fast
速く動くこと。
多くの挑戦から多くを学ぶために、まずはやってみよう。Speak Openly
率直に話すこと。
より良い結論を得るために、その場で意思を伝えよう。
上記に加えて、PAY社では「Focus on Impact」という行動指針を独自に掲げています。
これらの行動指針の要素の共通点を見ていくと、
・アウトプットの質にこだわる
・アウトプットのスピードにこだわる
という2点に集約されると整理しました。
この2点を踏まえて、軸は「会社全体のアウトプットをより高い質で、より早く出せるワークスタイル」という表現にまとめました。
②社内へのヒアリング
①で定まったワークスタイルの軸を中心に具体的な働き方を決めていくステップに移ります。
具体的な働き方を決める上で、多様なメンバーが活躍できるワークスタイルとするため、現在の働き方の実態と今後の働き方についての意見を把握すべくヒアリングを実施しました。ヒアリング先のメンバーは様々な職種や属性、バックグラウンドとなるような構成を意識しました。また、組織運営の中核となるSection Manager(※)以上には全員にヒアリングを設定し、結果的にヒアリング対象者は50名ほどとなりました。
※昨年の組織構造は、Division > Section > Group という階層でした。また上級執行役員/執行役員はDivision ManagerもしくはSection Managerを兼ねているため、経営メンバーへも全員ヒアリングを行うこととなっています。
ヒアリングでは、以下などを聞いていきました。
・現在の働き方において出社/WFHそれぞれのメリットおよびデメリット
・仮に出社する場合の想定出社頻度
・(対マネージャー)組織運営にあたってのポイントや懸念点
社内でのヒアリングの内容を一部書き出します。
想定出社頻度については、フル出社(週5出社)をするイメージのメンバーは少なく、月数回や週1、2回程度の出社のイメージとの回答が多かったです。また、採用活動において候補者の方に対して、出社を求める可能性があるためフルリモートでの働き方は想定しないと伝えていることもあってか、今回のヒアリング対象者からは100%リモート(1日も出社しない)という意見はありませんでした。
そして経営メンバーへのヒアリングからは「アウトプットのキーになるマネジャーやPJリーダーがアウトプットを出す上でハードルとならない働き方にしたい」という意見があがっていました。
③ワークスタイルに関する研究、国内外の企業動向等のリサーチ
①にて軸は「会社全体のアウトプットをより高い質で、より早く出せるワークスタイル」という表現でまとめましたが、ではアウトプットの質とスピードを向上させるワークスタイルとは何でしょうか?
働き方とアウトプットの質・スピードの関係性について因果を裏付けることは大変難しいと感じていますが、定性面である社内へのヒアリング内容と定量面である研究や分析等になにか共通項はないかとリサーチを進めました。
様々な情報を調べる中で、特にリクルートワークス研究所さんの調査内容や報告書を大変興味深く拝見しました。
その中でも、
・「「職場における集まる意味の調査」調査結果 vol.2」
・「集まる意味を問いなおす ーリアル/リモートの二項対立を超えてー」
の内容から、アウトプットの質とスピードを向上させるワークスタイルは何か?のヒントを得ることができました。
同調査結果の中で、「仕事の生産性や効率性を上げる集まり」や「自分の仕事の成果を上げる集まり」と「リモートワークで失われた集まる場」に重なる部分があり、ここがまさに社内ヒアリングの中でも「出社して集まって実施した方が効率的・効果的」と回答があった場と一致するものが多くありました。
その内容をまとめたのが以下です。
加えて、ワークスタイルは採用市場において候補者の関心が高いテーマであるため、他社動向とギャップがありすぎないかの基準をチェックしました。
④素案作成
次のステップとして、ヒアリング内容やリサーチ結果を踏まえて、ワークスタイルの素案の作成を行いました。
ヒアリングやリサーチの中で「アウトプットを出すにあたって、チームやPJ単位で出社して集まった方が効率的・効果的な場がある」という示唆を参考に、”集まる場”の方針や具体例をまとめていきました。そして、WFHのメリットとしてあがっていた意見を参考にし、出社とWFHそれぞれでどういった使い分けをするのかをまとめていきました。
⑤経営会議でのディスカッション
作成した素案を経営会議の議題として提起し、経営メンバーからのフィードバックを得てブラッシュアップするステップです。
ヒアリング時にもあがっていた通り、このワークスタイルを適用する上でマネジャー/PJリーダーがアウトプットを出す上で適切な方針か、という点で意見があがりました。論点となった指摘や意見は以下などがありました。
・出社頻度は設定すべきか否か
・会社全体で出社する曜日を定めるべきか否か
・PJリーダーがPJメンバーの上長でない場合、集まる場を適切に設定する運用はどうあるべきか
論点について数回にわたるディスカッションを通して経営メンバーと認識をすり合わせ、決定に至りました。
策定以降のステップ
経営会議での決議後、まずは本ワークスタイル運用の要となるマネジャーに向けて説明会を実施しました。そして全グループに向けて昨年12月のAll Hands(グループ横断の全社定例)にて発表しました。
マネジャー向け説明会やAll HandsのSlackコメント(※)等で大きな混乱はなく、発表を終えてほっとしたのを覚えています。
※BASEグループではAll Handsの際に毎回Slackにて専用のコメントチャンネルを作成し、発表内容に対して誰でもリアルタイムにコメントできるスタイルを取っています。
おわりに
本ワークスタイルはアフターコロナも見据えて策定しましたが、実際の運用の中で課題があれば随時改善していきたいと考えています。何より、本ワークスタイルはチームやPJに大きく裁量を委ねているので、マネジャーやPJリーダーの手腕が問われますし、正解のない中でよりよい手段を模索するのはまさにチーム作りの醍醐味であるとも言えます。
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