ショップオーナーのキャッシュフロー体験を上流から設計して、ショップの成長を後押ししたい。BASE BANKのデザイナーに聞くFinTechサービスに取り組む難しさとやりがい

Recruitingの米田です。

今回は、「BASE」のショップオーナーに向けて金融サービスを提供しているBASE BANKチームのデザイナーにインタビューをしました。

BASE BANKの専任デザイナーは今回インタビューする山田さん1人のみと、チームの立ち上げフェーズにあります。

本インタビューでは、BASE BANKのデザインチームの仕事についてや、個人やスモールチーム向けの金融サービスならではサービスの課題や取り組むやりがいについて聞きました。


【Profile】
写真左:石黒 大基(いしぐろ だいき)
Design Division Product Design マネージャー
1979年生まれ。茨城県出身。就職氷河期の時代にアルバイトとしてデザイン系クリエイターズスクールの事務職に就く。スクールの受講生の「デザイナーになってやる!」という情熱に感化され、自らもスキルを身につけWebデザイナーの道へ。その後、エンターテイメント系企業やWebメディア企業など3社で経験を積み、2016年9月にBASE株式会社へ入社。2022年1月よりプロダクトデザイングループのマネージャーを務める。

写真右:山田 香寿貴(やまだ かずき)
NEW Division BASE BANK デザイナー
大学卒業後、新卒で受託の制作会社に入社。受託デザイナーとして、Web・グラフィックなど制作全般に従事。その後、ファッションECの立ち上げに参画し、ブランディング・アプリ・UI/UXデザインを経験し、2021年5月にBASE BANK株式会社(現BASE株式会社)に入社。現在は、「YELL BANK」、「BASEカード」、「お急ぎ振込」とBASE BANKで提供しているすべてのデザインに携わっている。

自己紹介と入社理由

石黒さん

まずは、おふたりの役割について教えてください。

石黒:ネットショップ作成サービス「BASE」のプロダクトデザインチームとBASE BANKのデザインチームのマネージャーをしています。BASE BANKでは、デザイナーの採用、BASE BANKの各サービスのデザインをするにあたってどんな知見が必要か、ユーザーの解像度をあげるには何をしたらよいかなど、デザイン組織の基盤作りに取り組んでいます。また、以前「BASEカード」のデザインに携わっていたので、改修などプレーヤーとしての業務も随時おこなっています。

山田:BASE BANKチームで提供している「お急ぎ振込」、「YELL BANK」、「BASEカード」の3つのサービスのデザイナーを務めています。上流工程から、全体の体験作りまで一貫して携わっています。

山田さん

山田さんはBASE BANKの専任デザイナーとして入社して1年ほどですが、入社した理由を教えてください。

山田:前職ではECプラットフォームを提供している会社で、EC事業の立ち上げから携わってきました。ブランドデザイン、ビジュアルデザイン、UI/UXデザインなど幅広く経験できた一方で、プロダクトがグロースのフェーズになるにつれて、改めてサービス全体の体験作りに携わりたいと思うようになり転職を決意しました。

体験作りの上流工程から関わることができる環境を探していた時にBASE BANKチームと出会いました。「BASE」というある程度サービス基盤がある中で新規のサービスに携われる点や前職でのEC事業の経験も活かせそうだと感じ、入社を決めました。

BASE BANKのデザイナーの仕事

それでは、BASE BANKでのデザイナーの仕事についてや、実際のデザインの進め方について教えてください。

山田:一定の大きさがある機能開発については、プロダクトマネージャー(以下、PdM)の柳川さんと一緒に要件を決めたり、体験を設計するところから始めます。ラフデザインができたらBASEのデザインチームと企画レビュー、デザイン要件レビューを行い、そこでのチェックを経て詳細のデザインに入ります。細かい粒度の改善については柳川さんから要件が共有されるので、あとはほとんど自分1人で進めますね。

それから一部ネットショップ作成サービス「BASE」の改善にも取り組んでいます。プロダクト改善に関するバックログを溜めているので、細かい粒度のイシューについてはメインのプロジェクトに支障のない範囲で有志で改善に取り組んでいます。改善を通してショップオーナーさんの理解が深まるので非常に良いなと感じています。

金融プロダクトをデザインする難しさ

BASE BANKのプロダクトの特性を踏まえて、デザインを行う上での難しさや面白さについて教えてください。

山田:3つのサービスを通じてショップ運営におけるキャッシュフロー全体の体験を作るという部分が面白さであり、難しさでもありますね。サービスは複数提供していますが、いずれも「BASE」のショップオーナーに提供するという点で一貫した体験を作りつつ、各サービスではユーザビリティをそれぞれ最適化していく必要があります。

山田:BASE BANKが提供するサービスはどれも類似のサービスが世の中にあまりないこともあり、どうすればユーザーに受け入れられるのか、どうすれば初めて使う人も違和感なく使えるデザインになるのかを意識しています。ショップオーナーさんにとっては金融用語が難しかったり、特に「YELL BANK」は仕組みが難しいとのお声をいただくこともあるので、そこをサービスとして分かりやすく提供できるように取り組んでいます。

また、「BASE」のユーザーの中でも金融サービスが必要な方とそうでない方がいらっしゃるので、どのユーザーに対しても違和感なく、邪魔にならないデザインを心がけています。

キャッシュフローの体験を良くすることでショップの売上が大きくなっていくので、ショップオーナーさんと一緒に成長している感覚はありますね。

ショップオーナーさんが違和感なく金融サービスを使えるという点がポイントなのですね。サービスの中で具体的にどのような点を工夫しているのでしょうか?事例をお聞きしたいです。

山田:「BASE」の振込申請画面に「YELL BANK」の利用導線を追加した施策がありますね。振込申請を行うということは一定の資金ニーズがあるのではないかという仮説のもとに取り組んだものです。

施策の検討の際は、資金調達と振込申請という2つのアクションを一緒に導線として設置するので、ユーザーが混乱しないように伝えるのが難しかったです。

リリースするまでは不安な部分もありましたが、リリース後すぐにチームメンバーが使ってくださったショップオーナーさんにインタビューをしてくれて、ショップオーナーさんから「振込申請した際はお金が必要だったから「YELL BANK」を使った」という声をいただいたんです。狙い通りの使い方をしていただいたことが分かって、ほっとしました。

そういう声をショップオーナーさんからいただくと嬉しいですよね。石黒さんは「BASEカード」のリリースにメインデザイナーとして携わっていましたが、その際に意識してデザインを行った部分や、難しかった部分を教えてください。

石黒:「BASEカード」はショップの売上を即時に使うことができるプリペイドカードということで、キャッシュフローに新たな体験を追加するものでした。

石黒:”ショップの売上をカードで使える”という概念がそもそもショップオーナーさんにとってスムーズに受け入れてもらえない可能性がある、と仮説があったので、「BASE」全体と同じように”誰でも簡単に使える”を意識してデザインしました。また、支払いに使えるサービスなので、オーナーさんに「よく分からなくて怖い」と思われないような工夫も必要でした。

「BASEカード」はまずバーチャルカードのみでの提供から開始したので、物理的なカードがないことによる不安が生まれないように配慮する必要もありましたし、クレジットカードではないので、そこをきちんと理解してもらう工夫も必要でしたね。

またセキュリティとユーザビリティのバランスをいかに保つかも考える必要がありました。例えば、カード番号が漏れてしまうと所有者以外も使えてしまうので、ログインしたらメール通知を送るといった機能を実装しています。一方で、管理画面上でカード番号を表示するのにパスワードを必要にするかという議論もありましたが、ユーザビリティが著しく落ちてしまうため実装しませんでした。

参考:BASEカードで目指した、幅広いユーザーに応えるための情報設計

BASEのデザイナーとの関わり方

金融サービスならではの注意を払う点が様々あるのですね。BASE BANKチームはネットショップ作成サービス「BASE」のデザインチームとは別の組織になりますが、BASEのデザイナーとの関わり方について教えてください。

山田:BASE BANKの専任デザイナーは現在私1人ですが、BASE側のデザインチームとは毎日開催されているプロダクトデザインチームの朝会、週次のデザイン全体定例、デザインレビューなどの機会でコミュニケーションを取っています。

山田:BASEはプロダクトデザイン、コミュニケーションデザイン、UXリサーチと専門領域でそれぞれチームを作っていて幅広い知見があったり、様々なタイプのデザイナーがいるので、デザインレビューの際のディスカッションも多角的に意見がもらえます。

それから先ほどお話ししたバックログによる「BASE」の改善プロジェクトでは、BASEのデザイナーと一緒に取り組んでいます。

石黒:デザインプロセスはBASEと一緒にしていて、BASE BANKのサービスだけ体験が違うということが起きないように意識しています。

今後BASE BANKで取り組むこと

それでは、今後はどんなことに取り組んでいく予定でしょうか?

山田:これまでは幅広いユーザーの利用を想定した機能の提供を行なってきましたが、今後はユーザーのセグメントを分けて、それぞれのセグメントのユーザーに向けて最適な体験を提供できるようにデザインを行いたいです。PdMやPMM(Product Marketing Manager)とカスタマージャーニーをしっかり書いたり、数字を見ながら体験を作っていきたいですね。

石黒:マネージャーとしてはデザインチームの体制作りに引き続き取り組みたいと考えています。メンバーの採用を進めたり、ユーザーの解像度を上げるために例えばユーザーリサーチを推し進めたり、BASE側のデザインチームとの橋渡しをしていければと思います。

求めるデザイナー像

採用のお話もありましたが、BASE BANKチームが求めるデザイナー像を教えてください。

石黒:BASE BANKのデザインチームは現在私と山田さんの2名で、まだまだチームが小さく、知見をこれから溜めていく段階なので様々な知見を持っている方が活躍できる状況です。FinTechなど業界特有の知見、デザインプロセス、UXデザインなど、いずれの知見を持っている方も活躍できると思います。広く裁量を持ちやすい環境で、自らデザインの体制やチームを作り上げていきたい方はマッチしているかと思います。反対に指示を待つタイプの方はマッチしづらいかもしれません。

山田:現在は私1人で3つのサービスを見ているので、まずは1サービス1デザイナーという体制を作ってそれぞれのサービスの体験を向上させていきたいです。UXに関する知見のある方に入ってもらえると一緒にディスカッションできたり、カスタマージャーニーを作れたりするので、そういう方にご入社いただけると嬉しいです。

BASE BANKでデザイナーをやる魅力、やりがい

BASE BANKでデザイナーをやる魅力、面白さ、やりがいについて教えてください。

山田:先ほども少し触れましたが、BASE BANKチームは少人数なので広く裁量を持ちやすい点でやりがいがあると感じています。

サービスの意義という点でもやりがいに感じています。ショップ運営にはお金が関係する機能が必ず必要なので、キャッシュフロー全体の体験を良くしていき、ショップオーナーさんの成長を促していきたいですし、オーナーさんと一緒に私たちも成長していきたいです。

石黒:BASE BANKチームだけでなくBASEのどのチームで働く上で言えることですが、日々仕事をしていく中で、ショップオーナーさん1人ひとりのさまざまな人生に触れられ、ドキュメンタリーを見させていただいているような場面に度々出会います。ショップオーナーさんのサクセスストーリーを間近で見られて、オーナーさんの成長に自分自身が関われているのが嬉しいですね。

またBASE BANKでは金融という難しいテーマをいかに簡単にするか、UXデザインとして難易度の高い課題に取り組めるのが醍醐味だと思います。個人やスモールチーム向けの金融サービスという世の中にまだまだ浸透していないサービスや概念をスピード感を持って作っていけるのが面白さだと思います。

それからいまのBASE BANKはある意味"いいとこ取り"ができる立ち位置なのかなと。新規事業でありながら、BASEという一定規模の事業や組織の中でノウハウやリソースを活用しながらチャレンジできる環境なのも魅力だと思います。


金融ならではの難しさをデザインの力で”かんたん”にするチャレンジが垣間見えたインタビューでした。

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