採用人事の「介在価値」を考える。経営戦略と事業戦略を踏まえ、会社全体を成長させる採用フェーズへ

採用広報の飯野です。
今回は私も深く関係している、BASEの採用人事を取り上げます。

BASEでは、各部門を統括する経営陣やスペシャリストを巻き込む「スクラム採用」をおこなっています。この採用手法を取り入れた理由は、従来の採用手法から採用人事が介在する場所を変え、そのうえで「介在価値」を高めることが採用成果の最大化に繋がり、上場以降の非連続的な会社の成長へと繋がると考えたためです。

この記事では、現在の採用基盤を構築した米田さんと、現・採用人事マネージャーの成原さんに、BASEの採用がどのような変遷を辿り、現在どのような採用課題に直面しているのか、また「採用人事」という職の介在価値について深掘りました。

【Profile】
写真左:成原 由香(なりはら ゆか)
Talent Acquisition Division 採用マネージャー
外資・海外進出向け会計システムの営業を経て、ソーシャルゲーム、広告、フードデリバリー等のインターネットサービス会社数社で採用を経験したのち、2021年にBASE株式会社へ入社。現在採用を管掌するTalent Acquisition Divisionにてマネージャーを務める。

写真右:米田 愛(よねだ あい)
BASE BANK Division 事業企画
新卒でワークスアプリケーションズに入社、営業に従事。2018年4月にBASE株式会社へ入社。採用マネージャーとして現在の採用手法の基盤を構築。その後、経営戦略室を経て、現在はBASE BANK事業部にて事業企画・新規事業開発に従事。

なぜ「市場価値の高い採用担当」を言語化したのか

先日、米田さんが執筆された「採用担当の評価は何で決まるのか?市場価値の高い採用担当は何が違うのか?」というnoteの記事を読ませていただいたのですが、これはどういったきっかけで書かれたのですか?

米田:採用チームから異動した後に、ふと自身の採用の仕事を振り返ってみようと思ったのがきっかけです。

note.com

採用人事の方々は、なんとなく「良い採用」「悪い採用」のイメージを持っているかと思いますが、なかなか言語化する機会がないと感じていました。そこで改めて「市場価値の高い採用人事とはなにか」「採用人事としてどういう仕事をするべきなのか」を自分なりに考えて言語化し、自身の仕事の振り返りとしてみることにしました。

この記事で私が定義した「市場価値の高い採用担当」とは、「求められる介在価値が高い採用案件において、異なる想いを持つ多様なステークホルダーをプロジェクトマネジメント力とコミュニケーション力を持って巻き込み、より早く採用成果を生み出せる人」です。

採用人事の価値は、単に採用決定人数で測れるものではありません。

成原:この記事を読んで改めて思ったのは、「介在価値」という言葉の厳しさです。スキルがあっても介在価値を発揮しづらい組織体制に属している採用人事の方も多いため、どういった環境に身を置くかという点も重要だと感じました。

たとえば、オペレーションを完遂することで求められる採用成果を達成することのできる環境やスタンスを要求されている採用人事の方々。もちろん採用人事の業務であることには変わりないですが、「介在価値が高いか」という視点で考えると違いがあるかもしれません。

米田:そうですね。オペレーションがかっちりと決まっている大企業や大手人材紹介などの環境下で採用の業務をずっとやってきた方が、スタートアップやベンチャーの採用人事に転職したとき、「成果を出すのが難しい」と感じているようなケースがあるのではないかと思います。これは、採用人事としてのバリューの出し方が異なることが原因です。

たとえば、現場からオーダーされた求人要件をそのまま募集するのではなく、採用するポジションの要件定義を自分自身がリードしていく必要があったり、候補者に対しての自社や各ポジションの魅力も自分で考えて発信していかなければいけなかったりと、前職でおこなってきた採用の業務領域が広く深くなることで悩んでいる採用担当の方もいらっしゃるのではないかなと思います。

必要なのは「経験」ではなく「介在価値の追求」

成原:米田さんはたしか、人事未経験でBASEに入社されていますよね。

米田:そうなんです。前職が営業だったので、当初は経験を活かせそうなカスタマーサクセスで選考を受けることになりました。ところが最初の面接で採用担当を打診され、「これから採用広報を立ち上げたい」という意向を聞き、おもしろそうなミッションだと思いキャリアチェンジを決めました。採用広報の立ち上げをおこなうなかで、採用活動全体を改善していかないと採用の成果を上げていくことができないと感じ始め、BASEはどんな戦略でどんなスタンスでどんな体制で採用をすべきかを整理していきました。そうしていくうちにマネージャーに就任し採用戦略の体制作りから採用広報、リクルーター業務まで一気通貫で担うようになりました。

ただ、私は事業部の経験をせずに採用を担当していたので、私から候補者に仕事の魅力を伝えるのには限界があると感じていました。自分一人が採用をおこなっていくよりも、マネージャーにもリクルーターを担ってもらう方が成果が大きくなると思ったんです。そこで、各部署主体で採用活動をおこなう「スクラム採用」を取り入れることにしました。スカウトや面談を各部署のマネージャーに任せ、私たち採用人事はプロジェクトマネージャーとして裏方として支えるという採用手法です。

成原:スクラム採用の体制は、そもそも「採用人事の介在価値とはなにか」という考えを持てていなかったら辿り着いていないですよね。

米田:そうですね。スクラム採用は、採用に取り組む主体が各部署のマネージャーになるので、一見「採用人事の介在価値はどこにあるのか?」と思う方もいるかもしれません。スクラム採用における採用人事の価値は、採用に取り組む各部署のマネージャーと役割分担し、それぞれの強みを発揮しながら採用目標を達成できる体制を作っていくことだと考えました。従来の採用活動と比較して、採用人事の介在する”場所”を少し変えてみたんです。

成原:会社の採用というプロジェクトを成功に導くために、戦略を立てて進めていく。BASEの採用人事は、プロジェクトマネージャーやディレクターに近いかもしれないですね。

年々上がり続ける採用の難易度。上場以降の非連続成長を作るフェーズへ

採用人事の方の面接するときに大切にされているポイントは主にどんなところですか?

米田:「ご自身が採用を担当する範囲においてどのように採用体制を組み、そのなかで採用人事はどのような役割を担っていくべきかを各社のビジネスモデルや組織の特徴を踏まえたうえで実行し、採用成果に繋げていらっしゃるか」という点を大切にしています。

会社ごとに事業のビジネスモデルは異なるため、採用活動の前提や、なにが価値になるかも変わってきますが、その環境で「今の会社に何が必要か」を考え「採用人事として何をすることが介在価値を高めることなのか」という観点で行動に移せているかという点は、重視したいポイントです。

業務の幅が広いのはもちろんですが、関わるステークホルダーも候補者や各部署のマネージャーをはじめ幅広いですね。

成原:そうですね。2021年ごろ、事業が伸びたことで組織も拡大しました。私がBASEに入社したのは、ここからさらに組織、事業をスケールさせるために、採用候補者への期待値が高まりつつある時期でした。これまで具体的に設定していなかったいわゆるハイクラスの採用要件の定義の整理を含め、そこに取り組むというミッションを担いました。そのためのステークホルダーも広がっていく、そんなタイミングです。

米田:BASEの採用の特徴として、ステークホルダーの広がりもそうですが、私が採用を始めたときから現在にかけて年々難易度が上がり続けていることも挙げられます。事業が拡大し会社のフェーズが変わってくると、当然求められる人材要件も変わっていきます。

特に2019年のIPOや、創業10周年を迎えるタイミングなど、企業としても事業としても求められる期待値が変わったことで、それを支える人への期待値も変化しています。 創業から10年はネットショップ作成サービス「BASE」という主力サービスの成長が中心でしたが、今では既存事業である「BASE」の成長を推進させつつも、「Pay ID」や「YELL BANK」など新規事業を成長させるというフェーズに移行しています。

単一事業からポートフォリオ経営に変化したことで、グループ全体の戦略とそこから各事業へどのように接続しているのかを候補者の方に理解してもらう必要があり、事業の魅力訴求の難易度が格段に上がりました。また、新規事業の領域が金融や決済などの専門領域ということもあり、業界出身でない方からしたら理解しづらい内容ですし、事業の戦略を説明するのも難しいです。

そのため、今採用人事に必要とされる介在価値の水準は、数年前より上がっています。

成原:また、面接官に求める面接スキルが高くなっているのも難しい点です。たとえば、魅力ある競合他社から多くのオファーが来るようなハイクラス人材の採用の場合、面接官がアトラクトポイントをきちんと理解していることが重要です。さらに、候補者のスキルのマッチングの見極めだけではなく、入社後の魅力的なキャリアプランを提案する必要があります。

BASEでは最終選考に入った候補者の”内定判定会議”を実施しているのですが、ここでは「入社後の活躍とキャリアが事業戦略や組織開発を見越して妥当性があるか」というところまで議論します。 つまり、「入社後にどういう成果を期待することができ、それによってどのようにキャリア設計ができるか、それに必要なマネジメントと環境はあるか、再現性の高い退職理由が発生するリスクはないか」という詳細の部分まで面接でキャッチする必要があります。

経営戦略と事業戦略を広く深く理解する必要があるのですね。お二人のなかで、採用の難しさはどんなところだとお考えですか?

成原:「コンフォートゾーンに入ったら終了」という感覚が今でもあり、そこに向き合う大変さはあります。 ベンチャーの上場企業にいる以上、事業成長をリードする人材の採用を続けなければなりません。サービスをご利用くださるお客様により良いプロダクトや価値を届けるために、本当に採用すべき人材を客観的に考え、確実に採用し続けるというのは難しいです。

米田:成原さんも触れていますが、要件が上がり続けているなかで、中長期でご活躍いただける魅力的なキャリアプランを考えて提案させていただき、そのうえで入社を決定していただくという点が難しいところですね。noteの記事でも触れていいますが、ハイクラスの方になればなるほど職場環境や仕事に求める内容が幅広く、求める水準も高くなると思っており、多方面でのアトラクトが必要になるためです。

スキルの高い人材採用だけではなく、会社全体を成長させる人材採用を実現する

最後に、今後の採用方針について教えてください。

成原:これまでの変遷を振り返ったうえで、今のスクラム採用をアップデートしていけたらと考えています。

年々BASEの採用人事が担当する業務の複雑性は高まっていて、今後は「事業を伸ばせる人材」「この職種の専門性が高い人材」に加えて、「BASEグループ全体にコミットメントできる人材」の採用に注力したいと考えています。そのため、今ある採用手法の良いところは残しつつ、独自のスクラム体制の組成を想定しているところです。

BASEグループでは採用以外の専門性を持った人事職もいますので、各領域のプロフェッショナルと協働しながら、採用基盤の設計と企画を一緒にしてくださる方をお待ちしています。

米田:今のBASEには、採用の仕組み、採用チームのノウハウ、現場マネージャーの経験がある程度揃っています。難しいのは、そういった土台があるなかで、さらに発展させなければならないというフェーズに差し掛かっているということです。難易度は高いですが、非常におもしろい環境だと思います。

最後に

採用とは「会社の10年後をつくる仕事」です。
黒子でありながら、会社の未来をも左右する大プロジェクトの一翼を担っているのが採用人事という職だと私は考えます。「介在価値」にこだわり、高め続けていく。そのような同じ志を持った方と一緒に進むことができたら嬉しく思います。

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